人生には、仕事に集中すべき時期があると思います。
仕事に打ち込んだからこそ見える景色もありますし、苦しい時期を乗り越えるために「今は仕事を頑張るしかない」という時もあります。
私自身、長い間そうやって生きてきました。
ただ、いくら自分がやりたい仕事をしていたとしても、走り続けていると、ある日突然「自分は何のために働いているんだろう」と分からなくなることがあります。
私は40代になって、それを初めて強く感じました。
猫を助けたくて、自分で会社を作った
私は猫の保護活動をしています。
当然ですが、猫を保護するにはお金がかかります。
食事代、病院代、薬代、日用品など、猫の数が増えるほど必要なお金も増えていきます。
一時的に助けるだけではなく、保護した猫たちを長く守っていくためには、継続的にお金を生み出す必要があります。
そのため私は、自分で事業を始め、会社を作りました。
「猫を助けたい」という目的があったので、仕事そのものに対して大きくモチベーションが下がることはありませんでした。
今日はやる気があるから働く。
今日はやる気がないから休む。
そんな感覚ではなく、
「自分がやらなければ続かない」
という気持ちで、毎日仕事をしていました。
30代は、止まったら終わると思っていた
ただ、会社を作ったからといって、最初から順調だったわけではありません。
むしろ30代の頃は、なかなか事業がうまくいきませんでした。
自分自身の生活を成り立たせるだけでもギリギリ。
会社の将来にも不安がありました。
「もっと売上を作らないといけない」
「新しいことを始めないといけない」
「このままではまずい」
ずっとそんなことを考えていました。
当時の自分にとって、仕事を止めるという選択肢はほとんどありませんでした。
大げさではなく、
止まったら死ぬ。
それくらいの感覚で走り続けていました。
不安があるから動く。
売上が落ちたら新しいことを考える。
失敗したら、また次の方法を探す。
そうやって何年も仕事を続けているうちに、少しずつ経験が増えていきました。
40代になって、ようやく事業が安定してきた
40代に入る頃には、以前とは少し状況が変わってきました。
長く事業を続けたことで、
「こういうことをすれば売上になりやすい」
「ここは無理に頑張らなくてもいい」
「このくらいまでなら失敗しても立て直せる」
ということが、少しずつ分かるようになりました。
もちろん今でも事業に不安はあります。
売上が落ちることもありますし、新しい挑戦が失敗することもあります。
それでも30代の頃のような、
「来月どうやって生きていこう」
という状態ではなくなりました。
ずっと欲しかったはずの「安定」に、少しずつ近づいていました。
それなのに、ある日突然、私は布団から出るのが嫌になりました。
あれだけ仕事が好きだったのに、起きたくなくなった
朝起きても、仕事を始めたいと思えない。
布団から出たくない。
「もっと寝ていたい」
「今日は何もしたくない」
そんな気持ちが出てくるようになりました。
自分でも不思議でした。
仕事が嫌いになったわけではありません。
誰かに嫌な仕事を押し付けられているわけでもありません。
基本的には自分で選んだ仕事をしています。
やりたいこともたくさんあります。
それなのに、心がついてこない。
そこで初めて、
「自分は何のためにこんなに働いているんだろう」
と考えるようになりました。
お金のためなのか、将来の安心のためなのか
もちろん、お金は大切です。
猫たちを守るためにも必要ですし、自分の生活を安定させるためにも必要です。
会社を続けていくためにも必要です。
将来への備えも必要です。
だから私はずっと、
「今頑張っておけば、将来は楽になる」
と考えて働いてきました。
でも、ふと思いました。
その「将来」はいつ来るのだろう。
将来安心するために今日を使う。
明日安心するために今日も働く。
来年安心するために今年も働く。
それをずっと続けていたら、自分はいつ「今」を楽しむのだろう。
気が付けば私は、未来の自分を幸せにするために働き続けながら、目の前にある幸せを後回しにしていたのかもしれません。
やりたいことを仕事にしていても、疲れることはある
昔の私は、
「好きなことを仕事にできれば幸せ」
だと思っていました。
確かに、嫌いな仕事を毎日するよりは、好きなことや意味を感じられる仕事をする方がいいと思います。
ただ、実際にやってみて分かったことがあります。
やりたいことをやっていても、人は疲れます。
好きな仕事であっても、責任はあります。
会社を作れば従業員の生活があります。
保護活動をすれば、猫たちの命があります。
仕事が増えれば、お客様への責任も増えていきます。
好きだから頑張れる。
その一方で、
好きだからこそ休めなくなることもあります。
「自分がやりたくて始めたんだから、弱音を吐いてはいけない」
と無意識に考えてしまうこともあります。
でも、それではずっと走り続けることになってしまいます。
頑張ることと、幸せになることは同じではない
私はずっと、頑張れば人生は良くなると思っていました。
実際、頑張ったことで生活は安定しました。
できることも増えました。
助けられる猫の数も増えました。
だから、頑張ってきたこと自体を後悔しているわけではありません。
ただ最近は、
頑張ることと幸せになることは、必ずしも同じではない
と思うようになりました。
仕事を頑張る。
会社を大きくする。
お金を増やす。
将来の不安を減らす。
どれも大切です。
でも、その結果として自分が毎朝起きるのがつらくなっているなら、一度立ち止まって考える必要があります。
何のために頑張っているのか。
何を手に入れたら、自分は満足するのか。
そして今の生活の中に、自分が幸せだと感じられる時間があるのか。
自分が幸せでなければ、周りも幸せにできない
私は猫を助けたくて仕事を始めました。
会社には従業員もいます。
だから昔は、
「自分が頑張らなければいけない」
という気持ちがとても強くありました。
もちろん、その気持ちは今もあります。
ただ、最近は少し考え方が変わりました。
自分自身が完全に消耗してしまったら、長く仕事を続けることはできません。
私が倒れて会社が続かなくなれば、従業員にも影響します。
保護している猫たちにも影響します。
だから、
自分を幸せにすることも、仕事の一部なのではないか。
今はそう思っています。
休むこと。
好きなものを食べること。
仕事以外の人と会うこと。
何もしない時間を作ること。
旅行すること。
散歩すること。
そういった時間は、仕事をしていない無駄な時間ではありません。
自分が長く生きて、長く仕事を続けるために必要な時間なのだと思います。
「何のために働くのか」は途中で変わっていい
30代の私にとって、働く理由はかなり明確でした。
生きていくため。
会社を潰さないため。
猫を助けるため。
だから走り続けることができました。
でも40代になり、状況が変わりました。
昔と同じ理由だけで走り続ける必要はないのかもしれません。
人生のステージが変われば、働く理由も変わっていい。
これからは、
「いくら稼げるか」
だけではなく、
「どういう毎日を送りたいのか」
も考えながら仕事をしたいと思っています。
未来のために今を全部使うのではなく、今の自分もちゃんと幸せにする。
仕事を頑張っているのに、突然「何のために働いているんだろう」と思ったのは、もしかすると心がそれを教えてくれたのかもしれません。
これからも私は仕事を続けると思います。
猫の保護活動も続けます。
新しいことにも挑戦すると思います。
ただ以前のように、「止まったら終わり」と思って走り続けるのではなく、
自分自身の幸せも置き去りにしない。
それが、これからの自分に必要な働き方なのだと思っています。

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