人を雇うのが怖くなった。経営者になって初めて分かった責任の重さ

仕事・キャリア

会社を始めたばかりの頃、私は人を雇うことにかなり前向きでした。

理由は単純で、

人を雇えば、自分の時間を増やせる。

そう思っていたからです。

自分にしかできない仕事だけを残して、それ以外を誰かに任せる。

そうすれば、自分の時間が空きます。

その時間を新しい仕事に使ってもいいし、休んでもいい。

つまり、人を雇うことは

自分の時間をお金で買うこと

だと思っていました。

実際、この考え自体は間違っていませんでした。

人が増えれば、自分以外でもできる仕事を任せられます。

発送、梱包、掃除、入力作業、リサーチなど、任せられる仕事はたくさんあります。

自分一人ですべてをやっていた時より、自由な時間は確実に増えました。

ただ、人を雇って初めて分かったことがあります。

自由時間が増える一方で、別の責任も大きく増える。

ということです。

人を雇うと、固定費というプレッシャーが増える

自分一人で仕事をしている時は、売上が悪ければ自分の収入を減らせば済みます。

今日は仕事が少ない。

今月は利益が少ない。

それでも、自分一人ならある程度調整できます。

でも人を雇うと、そう簡単にはいきません。

人件費は固定費になります。

売上が多い月でも、少ない月でも、基本的には給料を払います。

当然のことですが、実際に毎月払う側になると、この固定費が想像以上にプレッシャーになります。

特に仕事が暇な時です。

従業員は出勤している。

でも任せる仕事が少ない。

そんな時、

「この時間の給料を払うために、自分は売上を作らなければいけない」

という感覚になります。

いつの間にか「仕事を振るための仕事」をしていた

人を雇い始めた頃は、

「仕事を任せれば自分が楽になる」

と思っていました。

でもある時から、

従業員に仕事を振るために、自分が新しい仕事を作っている

ような感覚になりました。

今日は何をしてもらおう。

来週はどんな仕事を任せよう。

仕事が少ないから、何か新しい作業を作れないか。

本来なら必要性を考えて仕事を増やすべきなのに、

「スタッフの仕事を作らなければ」

という理由で仕事を増やしてしまうことがあります。

これでは順番が逆です。

会社のために人を雇ったはずなのに、

いつの間にか

人のために仕事を作っている

状態になっていました。

仕事が少ないからといって、簡単に「今日は帰って」とは言えない

もちろん、雇用形態や契約内容によって事情は違います。

シフト制であれば、仕事量に応じて勤務時間を調整することもあります。

ただ、実際に人と一緒に働いていると、

「今日は暇だから帰ってください」

「今月は仕事が少ないのでシフトを減らします」

ということを何度も繰り返すのは簡単ではありません。

従業員側にも生活があります。

収入を見込んで働いている人もいます。

シフトが急に減れば、不満も出ます。

「この会社で働いていて大丈夫なのだろうか」

と不安にもなると思います。

だから経営者側も慎重になります。

仕事が少ないからといって、単純に勤務時間を減らせばいいという話ではありません。

人を雇うということは、

仕事だけではなく、その人との関係も維持すること

なのだと感じるようになりました。

自分の判断一つで、誰かの生活に影響が出る

これが一番重く感じるところです。

従業員にも当然、自分自身の生活があります。

家賃があります。

食費があります。

家族がいる人もいます。

もし会社の売上が落ちたとして、

「仕事がなくなったので辞めてください」

と簡単に言えるかというと、私はなかなかそう思えません。

日本では解雇にも一定のルールがありますし、実際の運用も慎重さが求められます。

それ以前に、

自分の判断一つで誰かの生活に影響を与える

という事実そのものが重く感じます。

自分が一人で失敗するだけなら、まだいい。

でも、人を雇った瞬間から、

自分の失敗が自分だけの問題ではなくなります。

人を増やせば会社は大きくできる。でも自分は重くなる

会社を大きくしたいなら、人を増やすことは有効です。

一人でできる仕事量には限界があります。

人が増えれば、できる仕事も増えます。

売上を増やせる可能性も高まります。

自分が休んでいても会社が動く状態にも近づきます。

これはとても大きなメリットです。

でもその一方で、

人が一人増えるたびに、自分の中では責任も一つ増える感覚があります。

売上を維持しなければ。

仕事を作らなければ。

給料を払い続けなければ。

人間関係にも気を配らなければ。

結果として、

会社は大きくなっているのに、自分の精神的な余裕は小さくなっている

ということも起こります。

「全部自分が背負わなければ」と思っていた

今振り返ると、私は少し責任を重く受け止めすぎていたのかもしれません。

人を雇ったら、その人の人生を全部背負わなければいけない。

長く働いてもらうなら、ずっと仕事を作り続けなければいけない。

事業がうまくいかなくなっても、自分だけで何とかしなければいけない。

そんなふうに考えていました。

でも、本来の雇用関係はそこまで一方的なものではないはずです。

会社と従業員は契約の中で働きます。

会社には会社の事情があります。

従業員には従業員の事情があります。

お互いに条件を確認しながら働くものです。

それなのに私は、

雇った以上、最後まで全部自分が面倒を見なければならない

くらいに考えていました。

この考え方が、自分をかなり苦しめていたのだと思います。

雇うことは、一生面倒を見ることではない

今は少し考え方を変えています。

もちろん、人を雇う以上は責任があります。

給与を払う。

契約を守る。

働きやすい環境を作る。

必要な説明をする。

これらは経営者として当然必要です。

でも、

従業員の人生すべてを自分が背負うわけではありません。

会社と働く人は、お互いにそれぞれの人生を持っています。

事業の状況が変わることもあります。

人の希望が変わることもあります。

ずっと同じ働き方が続くとは限りません。

そう考えると、少し肩の力が抜けました。

会社は大きければ大きいほどいいわけではない

以前の私は、

売上を増やす。

人を増やす。

会社を大きくする。

それが成長だと思っていました。

でも今は、

自分が無理なく責任を持てる規模で会社を続ける

ことも立派な経営だと思っています。

従業員を10人、20人、100人と増やすことだけが正解ではありません。

少人数でも利益が出る会社。

自分の時間も確保できる会社。

従業員にも無理をさせない会社。

そういう形でもいいと思います。

会社の大きさと、経営者の幸福度が比例するわけではありません。

「人を雇うのが怖い」と思うようになった理由

人を雇うこと自体が嫌になったわけではありません。

今でも、誰かに仕事を任せることで助かっていることはたくさんあります。

一人ではできないこともできます。

ただ、人を雇うことの重さを昔より理解するようになりました。

自由時間が増える。

できる仕事が増える。

会社も成長しやすくなる。

その一方で、

固定費が増える。

責任が増える。

自分の判断が他人の生活にも影響する。

この両方があります。

若い頃の私は、メリットの方ばかりを見ていました。

今は、デメリットも含めて考えるようになりました。

だから以前より慎重になりました。

でもそれは、

経営者として弱くなったのではなく、人を雇う意味を少し理解できるようになった

ということなのかもしれません。

これからは、

会社を大きくするために人を増やす

のではなく、

本当に必要な時に、本当に必要な人数だけ雇う。

そして、自分自身が責任を持てる範囲で会社を続けていく。

今はそれくらいの規模感が、自分には合っているのだと思っています。

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